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経済サロン原稿 杉浦良
「癒やしの街~阿波」

 「走ることが楽しいんです」と語るマラソンランナーに、どこか違和感があった。私が得意でなかったこともあるが、苦しさに耐えて長距離を走ることの意義を見つけ出せないでいた。
 「苦しいですよ。苦しくて苦しくて、もうダメだと思って走っているうちに、頭の中が真っ白になって、嫌なこともすべて忘れるんです。それからやみつきです。」
 とくしまマラソン出場者のこんな言葉で、長年の謎解きができた。2008年の第1回大会は出場定員3千人に対し応募者多数で5千人に変更、今年の第3回大会では定員6千人を7千人に修正対応するという一大人気イベントとなった。徳島が誇る吉野川を全身全霊で感じ、苦しいが頭の中までクリーンリセットできるアクションに、参加費を支払ってでも走る根拠があるのだろう。
 そう考えると、若者にも人気が出だした全長約1440㌔の四国遍路八十八カ所巡りは、山あり谷ありのチェックポイント88カ所を40日ほどで回り、足の痛さと苦しみに耐えながら、徐々に体も心もリセットする人間再生プログラムとなる。これら2つに共通するキーワードは「苦悩」「汗」「再生」そして「自然」。悟りを開くために修行するプロセスと、どこか似ている。
 この4年間で5人目の首相を迎えることとなった日本は混迷と不安を極めている。そんな中、とくしまマラソンや四国遍路の存在意義が高まるのではないか。悟りを開くことなど叶わぬことだが、悟りのプロセスに少しだけ首を突っ込ませてもらう仕掛けを、もっと用意できれば、それが四国徳島の活性化につながるのではと考える。
 年に一度の阿波踊りにしても、汗腺を全開にして踊り続け、心を空っぽにした後、祭りのエネルギーを体に充填させる再生空間と考えられないだろうか。
 「癒やしの街~阿波」―。徳島県のキャッチコピーとしてはどうだろう。(杉)


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