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投稿日:2020年05月23日

事務局通信~ゼロリスク

ゼロリスク

 新型コロナウィルスの感染拡大防止に向けて、政府やマスコミが国民にどう伝えていくか、というのは本当に難しい問題だと思います。
「感染者を出さないこと」を最終的な目標に置くと、感染者の発生は悪いことと認識されるようになります。他者に感染させることは「殺人」、感染者は「犯罪者予備軍」、感染拡大地域からそうでない地域への移動はウィルスを持ち込む「犯罪」とみなされるようになり、間接的に差別・誹謗・中傷といった行為を助長する可能性も否定できません。ハンセン病の悲劇が繰り返されるおそれもあります。

 従業員から感染者が出た店舗が世間に向けて「謝罪」を行うというのは日本ではよくある話です。感染者が立ち寄ったというだけで謝罪を要求されることすらあります。「世間に対して感染のリスクという迷惑をかけたこと」に対するお詫びなのでしょうか。
 もちろん可能な限りリスクを減らす努力は必要です。しかし、よく考えてみたら分かることですが、それぞれに生活がある従業員の感染を「完全に」防ぐことは不可能です。またどれだけ感染防止策をとったとしても、(勤務形態にもよるかもしれませんが)その従業員から他の従業員への感染を「完全に」防ぐことは難しいでしょう。完全を求める風潮は、「従業員から感染者を出さない」ことを目的としたコロナハラスメントの増加にもつながりかねません。
 「従業員同士がマスクを外して休憩室や更衣室で会話をしていた」と報道されると、「落ち度」「気のゆるみ」に対する誹謗中傷、「管理不行き届き」といった非難が押し寄せてきます。火に油を注いだ形になった後、今度は「店や従業員に対して差別行為や誹謗中傷が相次いでいる」と報道されます。
 海外への渡航、感染拡大地域からの帰省、感染判明後にバスに乗っての帰宅、行動履歴に関する虚偽の報告、県境をまたいでのパチンコ来店やレジャー外出、休業要請後の営業継続など、「身勝手な」行動も「断罪」するかのように報道されました。
 ルールを守って我慢を強いられている方や不安・不満を抱えて生活されている方にとっては、誹謗中傷の材料・鬱憤のはけ口を提供されたも同然で、SNS上における本人や家族の住所・勤務先・顔写真の公開、登園・登校・利用の拒否、貼り紙・投石・あおり・暴言などの嫌がらせが頻発し、「コロナ自警団」のようなものまで現れる事態となりました。
 
 「感染拡大の防止」という目標が「感染者を出さない」という目標にすり替わったことでミスリードを招いたようにも思います。ただ「人が動く限り、ある程度感染者が発生することはやむをえない。感染が急速に拡大して医療の逼迫を招くような事態にならなければよい」というくらいのメッセージだと、今度は「新型コロナウィルスはインフルエンザと大して変わらない」「特に対策は不要で、生活も今まで通りで構わない」とミスリードされ、感染拡大を止められなくなってしまう可能性もあります。リスクを正しく伝えるということは本当に難しい作業だと思います。

 リスクをゼロにするというのは理想的なように思いますが、現実的には不可能に近いです。私たちは常にリスクと背中合わせで生きています。例えば、交通事故で死ぬ可能性はゼロではありません(年間で3200人の方が交通事故で亡くなっています)。車に乗っていなくても車にひかれる可能性はあります。飛行機、電車、バスといった乗り物に乗れば、事故に巻き込まれる可能性はあります。たとえ無人島で一人で生きていたとしても「食べ物や飲み物が入手できなくなるリスク」や「ケガや病気のリスク」はあります。ゼロリスクで生きていくことは難しいです。
 どんなに優秀な人でも判断を誤ったり、ミスを犯すことはあります。いかに性能の良い機械でも故障や不具合はあります。科学も万能ではありません。不安から逃れようとして「絶対」「完全」といった存在を求める気持ちになることがあるかもしれませんが、そのようなものは存在しません。そのような存在を求め続けるのであれば、最後は宗教的なものにすがるしかなくなってしまいます。
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