最新情報 11月13日

リサイクル日記31

 今日は伊藤さん、小倉君というコンビで2トントラックに乗って、徳島市内の7件のお宅にお伺いし、不用品を回収して来ました。

 伊藤さんは愛媛県出身で、現在は月の宮共同生活棟で生活しながら、作業所で働いています。リサイクル作業所最年長であり、さりげなく語る昔話の中に半世紀に渡る軌跡がにじみ出ています。伊藤さんが見せてくれたこの半年間の変化には、スタッフもただただ圧倒されるばかりであり、この年になっても「人間が変わる」可能性があることを改めて感じます。不用品を作業所に持って来て下さる方を見かけても知らん顔していたかつての姿も今はなく、「言葉が届くようになった」伊藤さんは頼まれた仕事もてきぱきとやってくれるようになりました。今は、不用品の回収、リサイクル品の配達、有価資源の積み込み・搬入、不用品持込の対応など、様々な作業に取り組んでいます。
 小倉君は、30代半ばであり、小柄ながらかなりの体重があります。数十個のチェーンロックをぶら下げた愛車のMTBにまたがり、毎朝自宅から通勤してきます。寝不足のためか朝起きるのが辛そうですが、先月は水曜日以外に1日しか休まず、4ヶ月ぶりに皆勤賞を取り、給料ミーティングでは他のメンバーからも高く評価されて9月より2030円給料が上がりました。重かった腰も軽くなり、巨体を揺さぶりながら駆け回っています。不用品の回収、リサイクル品の配達、回収品の整理、値段がついた品物の陳列、不用品持込の対応、家具の整理などの作業に取り組んでいます。

 回収先が近づいてきます。
「もうすぐ着きますよ」と私。
 小倉君がダッシュボードから機関誌と不用品引き取りについてのパンフレットを1部ずつ取り出す。
「あっ、今の所や」と小倉君。回収先の表札を見つけたようです。
 トラックを止めると、伊藤さんが安全確認をしてから助手席から下ります。「大丈夫ですよ」と伊藤さんが言い、小倉君が下ります。
 小倉君が機関誌とパンフレットを持って玄関に向かいます。伊藤さんはトラックの荷台の幌を固定してるゴム(自転車のタイヤチューブを活用)を外して、荷台を開けます。
 小倉君が少し緊張した面持ちでインターホンを押します。
「太陽と緑の会リサイクルですけれど、回収に来ました。」
「はい、今行きます」
 ドアが開く。小倉君の後ろには伊藤さん。
「こんにちわ、リサイクルです。回収に来ました」と伊藤さん。
「はい、お願いします」
「これ、うちで出している機関誌です。」といって小倉君が機関誌とパンフレット手渡す。「よかったら読んで下さい」と伊藤さん。
「はい、分かりました」
 ごみ袋に入った衣料品、段ボール箱に入った小物・食器類、おもちゃ、ひもで束ねてある新聞・雑誌類など、玄関には品物がたくさんあります。
「これなんですけど大丈夫ですか。友達におたくのことを聞いたんだけど、いけるものとダメなものがあるって聞いたから。」
「小物類や衣料品、食器関係は基本的に大丈夫です。常識的に考えて、普通に使えるものならばいけます。中には10年も20年も倉庫に放り込んだままにしてあって、ネズミのふんだらけになったようなものを出される方もおられるので『お断りする場合もあります』と申し上げているんです。『すべていけます』と言ってしまうと、こういった非常識なものを出してきて『全部回収するって言うたやないか』と言われる方がおられるんです」
「そんな方もいるんですね。こちらのは全部洗濯はしてありますので』
「ありがとうございます」

 「これもよろしいんですかね」と伊藤さんが確認しながら運ぶ。時折、回収先の方と伊藤さんが世間話をしている。今までは考えられなかったことである。
 無事に積み終わる。
「ありがとうございました。活用させて頂きます。またよろしくお願いいたします」
「こちらこそ、とても助かりました。ごみにして捨てるのももったいないと思っていたので」
 ここ2、3年で、不用品を提供して下さる方の意識が大きく変わってきているのを感じます。「ごみ処理はタダではない」とい認識が浸透し始めているのと同時に、「まだ使えるのにもったいない」と考える方が増えてきています。また、当会の活動が営利を目的とした活動ではなく、障害者の自立支援や環境保全を目的とした非営利活動である、ということを感じて下さる方も中にはおられて、本当にありがたいことと思います。
 「頑張って下さいね」
 心にしみる一言を頂いて、私たちは次の回収先へと向かいました。