最新情報 11月6日

家電リサイクル法施行後、半年を経て

 テレビ、冷蔵庫、洗濯機、エアコンを対象とした家電リサイクル法が施行されて半年が過ぎました。施行直前の1月から3月にかけてリサイクル料金の負担回避のための駆け込み的な買い替えが見られました。そのため、当初懸念されていたリサイクル法対象4品目の不法投棄も、法の施行後しばらくは「以前より多少増えた」程度で済んでいました。しかし夏場を越して秋に入り、徐々に増えてきており、家電小売店では連日のようになされる敷地内への不法投棄に頭を悩ましています。山林や河川敷などへの不法投棄も増えており、地方自治体でも厳しい財政状況の中で処分費用の捻出に苦心しておりね最終的には増税という形で住民にはね返ってきます。また不法投棄される家電製品の分だけ、メーカーのリサイクルルートに乗る家電製品が減るわけですから、メーカーのリサイクル工場も稼働率が下がり、リサイクル料金収入も増えず、採算が悪化していきます。
 リサイクル料金の後払い方式を選択した時点で、リサイクル料金の負担を嫌って不法投棄をする人が増える、ということは分かっていました。行政サイドもこのような事態に陥ることは当然想定していたはずです。自動車については製品価格にリサイクル料金を上乗せする先払い方式採用の方向で話が進む中で、「なぜ、家電製品では先払い方式を選択しなかったのか」という思いを抱いている人はかなりおられるのではないでしょうか。
 自動車の場合、@自動車メーカー系列のディーラーは新車だけでなく中古車も扱っていること、A自動車のリサイクル料金を新車価格に転嫁しても少しの値上げで済むこと(自動車は単価が高いので、例えばリサイクル料金が1万円であっても影響は小さくて済む)、といったことから、先払い方式が採用されたと考えられます。
 家電製品のリサイクル料金を前払い方式にすれば、不法投棄は確実に減ります。家電小売店はリサイクル券の記入や品物の管理などの煩雑な事務処理から解放されると同時に、敷地内への不法投棄に頭を悩ますこともなくなります。地方自治体は無駄な税金を使わずに済み、その分他の事業に資金を回せます。メーカーにとっても確実にリサイクル料金を徴収できるので、決してマイナスにはなりません。企業会計上、リサイクル料金収入が「収益」として課税される、という問題については、引当金制度を設けることで解決できます。
 「リサイクル料金を上乗せすると、製品の売上が下がる」「合理的なリサイクル料金を見積もるのが困難だ」というメーカーサイドの意見もあります。しかし、そうなって初めて、製品がゴミになった時のことまで、メーカーが真剣に考えるようになるのではないでしょうか。リサイクル料金を少しでも安くしよう、という企業努力の中から、リサイクルしやすい「エコ製品」が生れてくると思います。製造コストにリサイクルコストも含めたトータルのコストを考えていくことが大切だと思います。「製品を作ったら後は知らん」という姿勢の企業は、いずれ市場から排除されると思います。(小山)