最新情報 10月23日

リサイクル日記・その24

本のコーナー「来夢(ライム)」

 本館2階。本のコーナーを担当しているのはA君。20代の小柄な青年だ。イガグリ頭は当会代表の杉浦さんが散髪したもの。ダミ声を響かせ、こちらの浅はかな考えを見抜くかのごとく、ギョロ目で見る。
 本のコーナーはA君により「来夢(ライム)」と名づけられた。「俺は店長や」という叫びに対し、「ほんまに店長らしいことをやっているの?」という突っ込みが入ることもある。
 朝は掃除から始まる。バケツに水を入れ、床と階段のモップがけをする。この2月から始めたこの作業、ほぼ毎日続けており、「ひとつのことを地道に続ける」ということがあまり得意でなかったA君にとっては、これは大きな変化ではないかと思う。
 A君のよき相棒となっているのはB君。モップがけにも付き合ってくれる。整った顔立ちで「Bちゃん」という愛称で呼ばれ、ワークキャンプや体験ボランティアでも人気を集める彼も、もう30代の仲間入りを果たし、「B君」「Bさん」と呼ばれることも増えてきた。仕事中、ぶつぶつ、愚痴をこぼすA君を「しょうがないな、Aちゃんは」とつぶやきながら、時にはあたたかく、時には厳しく見守っているような雰囲気がある。
 モップがけが終わると、A君は本の整理を始める。彼は午後4時に作業を終えて帰るので、4時以降に回収持込みで入ってきた本が、本のコーナーの片隅にビニール袋や段ボール箱に入ったまま置かれていることもよくある。そういったものを売場の棚に一冊ずつ入れて行く。
 次はコーナー作り。週刊朝日百科「世界の歴史」という雑誌を集めて、「1冊30円」というインフォメーションをつけたりしている。金額的にはわずかかもしれないが、古紙(雑誌)として持って行っても、タダであることを考えれば、本として再利用して頂けた方がいい。その他「文藝春秋」1冊50円、週刊金曜日(創刊号からそろっている)1冊50円、「青春出版者のプレイブックス」1冊50円、といったようなコーナーを作っている。今日は「料理の本がまとめて売れた」と言ってとても喜んでいる。
 次はセット刊作り。マンガなどで、1巻から10巻までそろっているようなものが入ってきた場合、ビニール袋に入れ、インフォメーションをつける。長いこと売れないものについては値段を下げたりもする。この値段付けも任されるようになり、「来夢(ライム)」専用のラベラー(値段のシールを貼る道具)を渡され、大喜びしている。
 先月は給料ミーティングで厳しい評価を受け、給料も大きく下がってしまった彼が挽回を狙って頑張っている。
 「ほんま怖いんは、スタッフでなくてメンバーよ。スタッフはごまかせても、メンバーはごまかせん。スタッフにゴマすっても給料は上がらんのや。三木さんや小山さんは大したことない。メンバーが怖いんや。」
 リサイクル作業所に来て1年半。少しずつ地に足がついてきた彼の姿があった。