最新情報 9月16日

マルダイ石けん見学報告

 9月11日、2トントラックにテンプラ廃油(廃食油)800リットル(ポリタンク40本分)を積み、メンバーの岡田さんとスタッフの益田、小山の3人で朝7時にリサイクル作業所を出発、4時間半かけて滋賀県大津市にある潟}ルダイ石鹸本舗まで運び、廃食油から作った粉石けん(1袋3キロ入り)500袋を購入して積み込み、工場見学及び近くの作業所見学の後、午後7時に徳島に戻ってきました。
 マルダイ石鹸では、独自に開発した「高温焚込法」により粉石けんを製造しています。回収した家庭用廃食油は、ろ過・沈殿させた後、直径2m、深さ2mの大きな鉄製の釜に入れ、火をかけて精製します。精製油(油脂)にカセイソーダ(アルカリ)水溶液を加えて焚き込み、反応(鹸化)させて、純石けん(第一種石けん)ができます。これを釜から上げ、添剤(石けんの洗浄作用を助けるもの)として炭酸ソーダを加え、第二種石けんができます。これを粉砕・乾燥させて粉末にし、さらに乾燥させて袋づめし、マルダイ粉石けん「びわ湖」の完成となります。
 家庭用廃食油は植物油が中心ですが、植物油脂は柔らかい油脂で、粉石けんの原料に向いています。油の質、状態、その時の気温、湿度によって焚き方を微妙に調整する必要があり、最近はパーム油が増えてきたこと、釜の底が10年間の使用で微妙に変形してきたことなどにより、焚き方も変わってきたそうです。
 「釜からふきこぼれそうになるところを、扇風機で風を送ってやるんだ。心臓はドキドキしているが、この瞬間がたまらないんだ」
 釜の前で説明して下さる中井さんを見て、長年の経験に裏打ちされた職人仕事であることを改めて感じました。
 「粉石けんを品切れにさせたことがないのが自慢。ええかげんなことをしていたら、粉石けんまでええかげんなものと思われてしまう」
「この粉石けんは汚れがよく落ちる、ということには自信を持っている。いろいろな油から作られているから、いろいろな汚れがよく落ちる」
「高温焚き込み法はグリセリンを含んだまま粉石けんにするので水に溶けやすく、使いやすい」
「粉石けんは毎日使ってもらうものだから、次にまた買って頂けるかどうかが大切」
「本当にいいものを作っていくのが私の仕事。それを欲しいと言われる方がいる限り、作っていきたい」
 創業して26年半。街の片隅にひっそりと息づいている小さな工場は中井さんと前社長さんの2人で始められ、最初の1年半は水道もなく、石鹸作りに欠かせない水はドラム缶に入れて運び、燃料は廃材を使用していましたそうです。
 粉石けんは必ず自分でなめて品質と安全性を確認している、という中井さん。その発する言葉のひとつひとつから、石鹸作りに対する思い入れが伝わってきました。
 家庭用廃食油から作った粉石けんを使うと、@粉石けんを作るために廃食油を使用するので、その分、川に流す廃食油が減る、A粉石けんは合成洗剤に比べて分解速度が速く、毒性が少なく、環境にやさしい、という2つのメリットがあります。大さじ1杯のテンプラ廃油を流すと元に戻すにはドラム缶15本分のきれいな水が必要になると言われています。
 太陽と緑の会リサイクル作業所で1袋(3キロ)700円で販売しています。粉石けんとしてはかなり安い価格(ほとんど実費に近いです)に設定していますが、これは1人でも多くの方にこの粉石けんの良さを知って頂きたいからです。