最新情報 9月16日

リサイクル日記・その23

〜過去と現在と未来と〜
 今年の体験ボランティア事業で印象に残る光景がありました。それは「共同生活メンバーのAさんが体験ボランティア参加者の皆と一緒に食事をとり、作業を行い、ミーティングに参加し、映画を見る」というものです。
 Aさんは「皆と一緒に何かをする」ということが苦手でした。今でも基本的にはそうです。
 7年前、月の宮共同生活棟で生活しながらリサイクル作業所に通うAさんは、夜の食事作りには参加せず、皆が食事をとっている時には洗濯をし、皆が食べ終わった頃に一人で食べる、というパターンが日々繰り返されていました。
 しかし今回、食事の時間になると呼ばなくとも自分からすっと食事の場に現れ、皆と一緒に食事を取り、スケジュール表を見ながら大広間でミーティングが始まるのを待ち、映画会終了後しみじみと映画の感想を話すAさんの姿がありました。
 「呼んでも来ないAさん」から「呼ばないと来ないAさん」、そして「呼ばなくても来るAさん」へのダイナミックな変化を見ると、人間の持つ底力のようなものを感じます。
 一見当たり前のように見えることの裏に思ってもみなかったものがひそんでいます。現在だけを見るのではなく、過去と現在と未来とを一本の線でつなげてみることで見えてくるものもあるように思います(小山)。