最新情報 8月4日

知られていない障害者福祉V

D補助金の根拠性

 それぞれの地域には様々なハンディを持った人達が生活しています。養護学校を卒業した人、精神病院を退院した人など、様々な人達が行き場を探しています。一般就労できる人は少なく(養護学校卒業者の場合、5分の1以下)、在宅を余儀なくされるか、法定施設に通所、入所するか、という状況にあります。
 法定施設に対しては前述のように多額の助成金が出ていますが、絶対数が少なく、過疎の町村での設置はさらに少ない、という問題があります。
 具体的には法定通所施設は施設数が1659箇所、利用者数が5万4680人(平成11年度社会福祉施設調査)であるのに対し、小規模作業所は施設数が3倍強の5202箇所、利用者数が約1.5倍の約8万人(きょうされん調査)となっており、法定施設よりも法定外の作業所の方が圧倒的に多いです。
 また全3256市町村の内、法定通所施設が設置されているのは443市町村(13.6%)であるのに対し、小規模作業所は1362市町村(41.8%)で設置されています(きょうされん調査)。
 さらに精神障害の方については、徳島県では法定通所施設が1箇所もありません。法定施設は地域福祉のニーズを満たしていない、と言えます。
 ならば法定施設を増やしていけばよいのでは、という意見もありますが、小規模作業所を利用している8万人及び今後行き場を必要とするようになる人(養護学校卒業者、精神病院退院者他)をすべて受け入れられるだけの法定通所施設を作ることは、財政的に不可能です(「知られていない障害者福祉U」参照)。
 仮に8万人分の知的障害者通所施設を作るとなると、50人定員の施設が1600箇所必要となり、運営費だけで毎年1824億円(国民1人当たり年間1520円)の税金を投入することになります。
 障害者地域福祉の方向性としては、法定施設の増設ではなく、地域共同作業所及びグループホームの充実です(「小規模授産施設について」参照)。箱モノに頼った福祉は限界に来ているのです。作業所に補助金を拠出していく根拠性もこの点にあります。