最新情報 7月30日

知られていない障害者福祉V

Bこの基準では運営できない

 仮に、徳島県が350万円の補助金の内訳(算定基準)をこのように考えているとしたら、次のような問題点があります。
 第一に、「9時から5時まで週5日勤務で年収が112万円、しかもそこから国民年金、国民健康保険を支払い、労災や失業保険もなく、将来の保証もなく、何かあった時には全責任を負わなければならない」という仕事を引き受けてくれる人はいません。ある程度の年金を受給している、もしくは配偶者が家計を支えているといった理由で、無収入に近くても最低限の生活が可能な方でなければ困難です。
 第二に、利用者の中に特別なフォローを必要とする人がいる場合、職員が1人ではとても運営できません。
 あまりにも多くの問題を抱えているため、法定通所施設では手に負えず追い出されたメンバーが、他に行き場がないため作業所へ通所するようになる、というケースはよくあります。
 利用者数20人の法定通所施設はで年間約4560万円の助成を受け、少なくとも施設長1人、医師1人、指導員3人を置きます。指導員は準公務員待遇であるため、求人を出すと20倍、30倍の応募者があります。
 これほど条件の整った所でもどうにもならなかったメンバーが作業所に来るとどうなるか。作業所のたった1人の職員は、そのメンバーへのフォローで手一杯となり他のメンバーは放任状態となります。このような場合、常勤職員が最低でも2人必要となります。
 第三に、先ほど挙げた作業所の維持管理費は、ボランティアの方々が無償でして下さっているおかげで総額235万円ですんでいますが、もしボランティアの方がいなければ、その仕事を業者に頼むことになり、費用は400万円以上になります。
 月の宮作業所の場合ですと、朝晩の草刈り、建物・設備の維持・管理・修繕、農作業全般(技術指導含む)など様々な部分でボランティアの方々から全面的なご協力を頂いています。そのおかげで作業所の活動が成り立っているのです。