最新情報 3月15日

リサイクル日記・その11

 衣装ケース500個。
 とてつもない数の衣装ケースがやってくることになりました。そのための準備として、家具コーナーの2階を整理しました。
「そがちゃん、一緒に手伝ってくれる?」
「‥・‥」無言なのですが、表情を見ると右手を上げて、うつむきかげんに笑顔でこたえてくれます。内心「これは僕の仕事だな。」といわんばかりの表情です。(やっかいやなあと思われてるかもしれませんが、、、)
 早速、家具の2F、誰も立ち寄らない、立ち寄れない開かずの間といった所でしょうか?こたつがすべて、バラバラになった状態でつみあげられています。
「これ解体ね。」
「これ埋め立てね。」
「これ、埋め立ての木が一杯ある所ね。」
 春の訪れが近いこともあって、少し動いただけで冷たかった風もいつの間にか心地良くなり、さらに、着ていたジャンパーも汗で暑くなってきました。
「ジャンパー脱ごうか?暑うなってきたなあ。」
「手伝おうか?」
岡田さんが声をかけてくれました。
「うわあぁ、助かるう。」
「衣装ケース500個、いつ入っても置けるようにしとくわな。」
 3月中に納品との事で、3月31日かもしれんし、明日かもしれん、という状況です。
「チィーツス。」
 数藤君が、重い体を動かして2Fに姿を見せてくれました。
「ウゥッワッ、声かけてへんのに、きてくれたん?」
「オイーツス。」
 照れ臭さか、苦笑いを浮かべながらも重いテーブルをおろしてくれます。
「解体、はいろっか?」
 早くも、リタイヤ宣言?いやいや、解体の状況を悟ってくれたのでしょう。
「ありがたいわあ。たのみます。」
 そこへ新星、新人ホープのメンバーのキャピキャピ声が聞こえてきます。
「みんな、何しょうるん?(何をしてるの?)きゃはきゃはきゃは。」
 1年間ボランティアの杉本君が総括研修を終えてもうすぐ帰ってくるとの報告に、すでに心は春色満開の大和さんが、吸い寄せられるようにやってきました。
「マヤちゃん、手伝ってくれる?じやあ、これ、解体ね。」
 岡田さんが、重いこたつの天板を持ち、まだ、力のついてない大和さんが、軽いこたつの天板をもって、狭く急な階段を下りていきます。堂々たる岡田さんの腰つきと、手際の良い指示に、私は特に何を言う必要もなく、ただ黙々とメンバーへの仕事を増やしていきます。
 その内回収から帰ってきた喜彦さんがやってきました。
「あっ、ええとこ帰ってきたなあ。」
私のにたり顔を見て、「う‥・ん。」と口をへの字に困り顔。“うわあ、えらいとこかえってきてしもた。”ってな心境ありありで私を見つめます。
「は‥・い。」しぶしぶの喜彦さんも、
「1年分の掃除手伝ってくれる?」
「うっわ、汚いなあ。はい、わかりました。うへえ、きちゃないなあ、ほうきとちりとり・・・。」
と、作業の現場を見ると、やる気になってくれました。3時で岡田さんが帰り、数藤君と大和さんが解体に行き、2Fから降ろす作業がやがてまた、そがちゃんだけになりました。
「そがちやん、いけるで?疲れたで?」
「・・・」
 右手を上げて、笑顔でこたえてくれます。
「もうちょっとやしな。」
 なかなか終わりが見えないこたつの山にため息が出た時、富開君が現れました。
 「あーーーーーっ、きてくれたん。」
 なんてグッドタイミング。
「うわあ、すごいなあ。」
 何年間分のこたつの山積みを見てすぐに察してくれた富開君でした。
「本体と、ヒーターと、足と、コード、そろってるものはストックして、後は、解体と、埋め立て処分ね。もったいないけど‥・。」
 これだけで、通じました。
「よっしゃ、やろか。」
 力強い言葉です。私とそがちゃんの、ちんたら作業を横目に、黙々と衣類の選別を続けていた岡本さんでしたが、「解体、オッつかんわ.(追いつかない)。」と、衣類の選別をひとくぎりつけて、その場で解体をし始めてくれました。そうなのです。あまりの量に、解体の数藤君からSTOPがかかったのです。さすが、ベテラン岡本さんです。入るタイミングといい、手伝う作業内容といい、思わず頭が下がる思いで、
「岡ちゃん、ゴメンヨ、助かります。」
と一言だけ言いました。後は・‥、ものの見事な早さで終了にこぎつけました。2時から4時という間の、超高速スピィディーな“共働作業”が、ここリサイクルの日常風景のひとコマにあります。