最新情報 2月1日

小規模通所授産施設について・その9

2 小規模通所授産施設制度とその問題点

B 事務コストの大幅増加
 
 任意団体の運営する小規模作業所が社会福祉法人の運営する小規模通所授産施設になったとき、大きく増えるのが事務コストです。
 定員20名の場合の職員配置基準を比べると、従来の法定通所施設では、少なくとも施設長1名、医師1名、指導員3名を置くことが必要とされており、その人件費はすべて助成金から出ます。これに加え、膨大な書類作成と事務処理が必要とされているため、これらの事務を行うために少なくとも1名の事務員を雇い、そのコストも助成金によって賄われています。
 これに対し、小規模通所授産施設の場合、施設長と指導員を合わせて2名以上おき、うち1名以上は常勤であることが必要とされています。しかし、小規模とはいえ、従来の法定通所施設と同様の事務、管理・指導体制が要求されるとともに、行政による指導・監査・統制を受けることになります。それをわずか年間1100万円でやりくりしなければなりません。
 事務員を置けるだけの財政的余裕はなく、施設長は会合への出席、行政や来客への対応、指導員はたった1人で山のような事務処理をやりながら、10〜20人のメンバーのフォロー、ケース記録作成、雑用に追われることになります。とりわけ年度末と年度始め、つまり3月から4月にかけては予算、決算の作成と書類作りに追われ、メンバーのフォローどころではなくなります。職員の待遇は準公務員並みになるかもしれませんが、メンバーよりもパソコンや書類と向きあう時間が長くなり、いったい何のための施設なのか分からなくなります。
 小規模通所授産施設制度は「従来の法定通所施設に近い内容のことを4分の1の助成金でやりなさい」「従来の法定通所施設では5人でやっていることを2人でやりなさい」ということなのです。