2000年7月16日

国府作業所に自動販売機を設置

 7月10日、国府作業所兼店舗設立以来15年目にしてようやく飲み物の自動販売機を設置しました。以前、隣接する仏壇部品製造会社(工場)の前にあった自動販売機は、当会に通ってくる様々なハンディを持ったメンバーや当会を利用される一般市民の方々に愛用されていましたが、平成10年4月にその工場が火災で全焼し、その自動販売機も使用不能になってしまいました。
 そこで、その年の夏に新しい試みとして、こちらがディスカウントショップで買ってきた缶コーヒーや缶ジュースを食堂にある冷蔵庫に入れ、その横にお金を入れる入れ物を置き、飲みたい人は1本につき50円(後にジュースの買出し単価が上がったため、1本100円になりました)を入れて自分で取り出す、ということを始めました。
 これはメンバーにも好評で、特に夏の暑い時期は、クーラーもなく2階は気温が連日35度以上になるという環境のこともあって、冷蔵庫の中にぎっしり詰め込んだジュースが1日もたず、冷却が追いつかないほどでした。
 「ずるをして、お金を入れないで飲む人もいるんじゃないの?」という声もありました。実際、入れられたお金以上にジュースが減っていることがあり、「こういう状態がずっと続くようであれば、冷蔵庫にジュースを入れるということはもうやめんといかんようになる」という問いかけによって揺さぶりをかける日々が続きました。
 冷蔵庫によるジュースの販売は、量が量だけに買出しや冷蔵庫への詰め込みの手間が大変なこと、一般の市民の方は利用できないこと、などの問題点もありました。
 
 先日、朝の全員ミーティングにおいて、国府作業所に自動販売機を設置することの是非について、メンバー、スタッフ全員の意見を聞きました。
 「自動販売機だといろいろな種類のコーヒーやジュースが飲めるし、冬は暖かい飲み物も飲める。しかし、電気代は太陽と緑の会が払うから、ジュースを買う人が少なければ赤字になってしまうかもしれないし、1本120円だから今までの100円よりも少し高くなる。」
 こういった説明に対し、「100円で飲める方がええ」「冬にホットの缶コーヒーが飲める方がいいです」「ホットが飲みたかったらインスタントコーヒーがあるから、自分で作って(タダで)飲める」「何を言うとるんや。インスタントコーヒーは太陽と緑の会のお金で買ってきてるんや。あれもタダとちゃうんで」「(自販機の)電気代がもったいない」「冷蔵庫の電気代はどうなるんや」などなど白熱した議論が30分以上展開され、多数決の結果、自動販売機を設置することに決まりました。
 このようなことは職員会議で決め、メンバーには決定事項として伝えるだけにしてしまえば確かにはやいですが、時間をかけてメンバーにも考えてもらい、意見を出してもらうということには、効率のものさしでは図れない意味と良さがあります。たとえ的外れなことだとしても、自分の思っていることを自分の言葉で言えるということ、そのような環境があるということが大切だと思います。
 なおこの自動販売機では、メンバーの意見や一般市民の方々へのサービスも考慮し、通常より10円安い価格を設定し、1本150円のジュースが140円に、120円のものは110円で買うことができます。
 国府作業所兼店舗は来客用にクーラーがあるだけで、作業場も売場も夏場は大変暑く、お客様にもご迷惑をおかけしています。全館クーラーを入れられるだけの資金的余力もなく、またそうすることでメンバー一人一人の力につながっていくとも思えません。そのような中で「自動販売機くらい置いてくれ」という市民の方々からのご要望にもお応えできるかと思います。