投稿日:2013年07月05日

事務局通信59

事務局通信59〜長いスパンで考える

メンバーのAさん(男性)のお母さんから作業所に電話が入った。
「家のことを手伝ってほしいので早く帰るように言ってもらえませんか」
Aさんは、お母さんと2人暮らし。お母さんが就寝時に使う湯たんぽの準備をしたり、夕食の準備の手伝い・配膳、洗い物、風呂掃除などを担っていた。
昼食の味噌汁作り、洗い物、掃除といった太陽と緑の会リサイクル作業所での10数年に渡る取り組みの積み重ねが、家庭でも活きていた。

かつて「Aが味噌汁なんて作れるものですか」「Aの世話にだけはなりませんから」とおっしゃっていたお母さんも、夫を亡くされ、70半ばを過ぎ、Aさんに頼らざるを得なくなった。2人の娘さんは結婚して、それぞれ大阪、香川に住んでいる。だから、お母さんが病院に行くときはAさんが付き添うことも多かった。
Aさんは太陽と緑の会リサイクル作業所で働いており、県外に出て行くことはないということ。そしてお母さんが一番身近にいるAさんを、心配しつつ、どこかで心強く思っている面もあるということ。Aさんとお母さんの関係は二人三脚の日々の中で少しずつ、しかしダイナミックに変わり始めていた。
そのお母さんも、じきに体調を崩され、入退院を繰り返されるようになり、最後は家族に看取られて亡くなられた。Aさんは亡くなる直前まで付きっ切りで看病したという。
Aさんにとってハンディとは何なのか。Aさんのお母さんにとってはどうだったのか。
物事にはいろいろな側面があることを、いつも感じさせて頂いている。(小山)

(事例は当会の活動内容をイメージして頂くために、日常の取り組みを紡いだものであり、ある特定の事例を指すものではありません。)