投稿日:2016年12月06日

事務局通信85


今年も残すところあとわずかとなりました。
障がい者福祉の領域にも営利企業の参入が進んでいます。制度福祉をビジネスとして活用(悪用)する障がい者版「貧困ビジネス」の広がりを見ると、「予算を増やせば中身が良くなる、とは限らない」という当たり前の事実を改めて思います。
営利企業だから駄目で、社会福祉法人や医療法人だからよい、という単純な問題でもありません。問題の萌芽は企業の参入前からありました。
良心的に取り組んでいる事業所、(数値で測定できるような表面的な成果ではなく)実質的な成果を上げている事業所を正当に評価することの困難さが、「割に合わないことは可能な限り排除すること」へと誘うのかもしれません。
「同じ就労継続支援事業を行っていて、同程度の公的資金をもらい、同じ土俵に乗っているのにどこが違うのか」という問いに対して「ここが違う」と明確に打ち出せるものがないと、いかに良心的な取り組みを実践していても同じ範疇でくくられてしまい、いつしか呑み込まれてしまう危険性も否定できません。
「太陽と緑の会はなぜ就労継続支援事業の制度を利用しないの? 多額の公的資金によって運営が安定し、職員の待遇も改善できるのに」
制度の開始以来、そのようなご質問を頂くことがよくありました。全運営費の約82パーセントをリユース品の売上で捻出しなければならない「イバラの福祉」を見据えながら、「ふたつよいこと、さてないものよ」と河合隼雄氏(臨床心理学者)の言葉が脳裏をよぎりました。
新年もよろしくお願い致します。
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