投稿日:2016年04月10日

代表通信39〜陶芸家・渡部愚風さんを偲ぶ


「陶芸家・渡部愚風さんを偲ぶ」通信     2016.3.24
 葉っぱビジネスとゴミの34分別で有名な上勝町の、渡部さん宅を訪れました。家に降りる道際に、映画「人生、いろどり」ロケ地の看板がありました。
 
ここを訪れたのは今から25年も昔、スローライフの実践者である陶芸家の渡部愚風さんに、しそジュースでもてなしを受けました。大学在籍中に陶芸に惹かれ瀬戸で修行をし、南インドに自分の居場所を見出し、辿り着いたのがここ上勝町でした。その生き方をワークキャンプ参加者に、語ってもらったこともありました。山と段々畑に溶け込んだ愚風さんは、ここの風景の一部でした。

 「娘とインドを回ってこようと思って。最近、大江健三郎が心に入ってくるようになったんです。以前は文体がどうも嫌いだったんだけれど・・」と旅用のザックを探しに来られたのが、最後でした。腰の痛みを訴えた時には、自分の余命を察知していたとのこと、去り際の見事さに、愚風さんの生き方が現われているようです。彼が残したインド旅日記は10冊を超え、イラストと丁寧な文字で綴られていました。

彼がこの世を去る少し前、代わりに白黒の猫が迷い込んできました。
「この子に随分救われました・・」
そう語りながらストーブに薪を入れる、連れ合いの厚子さんにお茶をごちそうになりました。合掌。(杉)
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