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投稿日:2021年07月04日

事務局通信~アフターワクチンの時代②

 米モデルナ製ワクチンに続いて、米ファイザー製ワクチンの不足も表面化してきました。新型コロナワクチン供給の見通しが立たないことから、一部の自治体で接種の新規予約の受け付けを停止・制限する動きが出ているようです。ワクチン接種に関し準備段階から混乱の原因となっているのが「中央から自治体に情報が届かない」という問題です。中央が情報を独占し重要な意思決定を行う上意下達の中央集権制度の弊害が露呈しているとも言えるでしょう。

 そもそもファイザー製ワクチンは年内に9,700万人分、モデルナ製ワクチンは9月までに2,500万人分、を供給する契約になっており、10~11月までに希望する国民に接種を完了するとした目標も、この契約が基準となっているのでしょう。医療従事者を含め約4624.9万回の接種が完了しており、単純に計算すれば残り半年、毎月平均約3296万回の接種が可能、つまり1日100万回は越す計算になります。問題があるとすれば、ワクチン確保に大きく出遅れてしまったことと、具体的な供給計画が示されないまま具体的な作業だけ自治体に丸投げしたことです。国産ワクチンの実用化が果たされていない現状を考えれば、東京や大阪に設置したような国主導の大規模接種センターを地方の中核都市にも設置し、国による接種のウェイトを高めた方が混乱が少なかったかもしれません。

 ワクチンの供給不足を今すぐ解消するのであれば、英アストラゼネカ製ワクチンを活用するしかありません。5月に正式承認されたものの実際の使用は一時保留となっていますが、すでに国内での生産が始まっており、4500万人分の供給契約が結ばれています。ただ接種後に非常に稀に血栓が発生する症例(ほとんどは60歳以下)が報告されており、新型コロナ発症リスクの低減も約4分の1と、ファイザー製、モデルナ製のものと比べると効果が落ちますが、「それでも構わないから、一刻も早く接種したい」という方のために、きちんと情報公開した上で、選択肢として用意することは可能だと思います。
 例えば国主導の接種にアストラゼネカ製ワクチンを使用するいう選択もあったでしょう。アストラゼネカ製を希望しない方は自治体での接種を選択すればよく、自治体での新規予約が停止となっても国主導の接種は引き続き行うことで、接種を急ぎたい人の希望にも応えられます。それをしなかったのは、副反応が生じた場合の責任問題を恐れて二の足を踏んだのでしょう。ただそうなると、使用をためらうようなワクチンをなぜ承認したのか、という問題は残りますが。

 「ワクチンを打ちたくない」という方も一定割合存在することを考えれば、ファイザーとモデルナを合わせた1億2200万人分だけでも十分足りており、最終的に余って使用期限が過ぎた分は廃棄となる可能性はあります。「接種を希望する国民は遅くとも半年以内には必ずワクチンの接種が受けられるようになる」ことは確かです。それまで待てないからアストラゼネカ製を接種するか、待ってでもファイザー製を接種するか、私たちに残された選択肢はその2つだけです。

 東京都では新型コロナ検査の陽性判明者数の増加が明らかになってきました。開催まで3週間をきった東京オリンピックの期間中に東京都の1日の陽性判明者数が1000人を超える可能性は高いでしょう。いまだに観客を入れてオリンピックを開催すると言っているのに「週末は外出自粛をお願いします」などと東京都の担当者がコメントする滑稽さに、どれだけの都民が耳を傾けるか疑問です。オリンピックは開催するがそれ以外の人流は抑制する、というのは机上の空論にすぎず、開催中に緊急事態宣言など発出しても人流抑制効果は少ないでしょう。
 むしろワクチン接種が進む中で、この夏は旅行や帰省といった人の動きが活発になることが予想されています。同調圧力の強い日本では、ワクチン接種の済んだ高齢者の方の行動が活発になれば、接種が終わっていない方の行動も変容する可能性が高いです。「高齢の両親のワクチン接種も終わりこれでようやく帰省ができる」と考えるのはごく自然なことでしょう。高齢者の方の旅行に対する需要も強く、「残された人生好きなことをやりたい」と思いつつ、これまで我慢してきた反動で、旅行客が一気に増える可能性もあります。
 開会式閉会式は無観客としたり、その他についても無観客となる可能性に言及したり、いざという時の責任逃れの道はきちんと用意しているようですが、オリンピックを開催する以上、陽性判明者数数の増加は避けられないと思います。

 ただワクチン接種によって発症リスクや重症化リスクの低減は期待できるため、従来のような陽性判明者数を前面に出した公表・報道は改める時期に来ていると思います。オリンピックの中止が不可能である現状では、入院治療を必要とする人や重症の方の人数に注視しつつ、最悪の事態に備えた手厚い医療体制を用意して臨む以外にありません。
 ちなみに、今イギリスで1日の陽性判明者数は約2万5000人、東京で言えば毎日5000人の陽性判明者が出ているような状況ですが、医療崩壊が起きているという話は聞きません。我慢や注意が足りず気を緩めた国民の問題なのか、感染症医療施策の問題(ワクチン戦略や医療体制の不備)なのか、もう答えは明らかなはずです。

 私たち一人一人が自分や家族の身を守るために感染症対策をきちんと行うのは当然のことですが、それを強調することで問題をすり替えてしまえば、近い将来、新たな感染症が流行した時に同じ過ちを繰り返すことになるでしょう。新型インフルエンザの教訓がコロナ禍で活かされなかったように。

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