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投稿日:2021年06月26日

事務局通信~アフターワクチンの時代①

 新型コロナウィルスのワクチン接種も少しずつ進んでいるようです。和歌山県では7.8人に1人の方が、徳島県も10.3人に1人の方が接種を完了しました。高齢者の方に限れば、全国で半数以上の人が1回目の接種を終えており、2回目の接種が完了した人も5人に1人となっています。
 企業や大学などによる職域接種と自治体による大規模接種について、申請の受付を一時停止するとの発表がありました。申請を準備していた企業等では混乱もあると思いますが、9月末までにモデルナのワクチンを5000万回分確保しているという状況下で、企業と大学で3300万回分、大規模接種で1200万回分を超えるという予想外に多くの申請があったということは、否定的に捉える必要はないと思います。国産ワクチンの開発が後手に回った上、海外製ワクチンの承認や確保にも出遅れるという致命的な失態を演じた時点で、来月開催のオリンピックに間に合わないことは想定内のことでした。
(かつて日本はワクチン先進国でしたが、不確実性を回避しゼロリスクを求めがちな国民性に、不安心理を煽るマスコミ報道が拍車をかけて、副反応や健康被害に対する警戒が強まったことで、ワクチンの社会的意義が低下したことは否めません。ワクチンの開発・承認・確保の出遅れの一因もこの点にあり、政府だけの問題ではありません)

 むしろ問題は、一方では(たとえワクチン接種が間に合わなくても)観客を入れてオリンピックを開催すると言いながら、他方では陽性判明者が増えた場合は緊急事態宣言を発出する、と相反するようなことを同じ内閣の人間が言っている、つまり、どのような展開になっても言い逃れができるような、責任回避の姿勢が明らかなことです。海外から大量に人を受け入れて人流も拡大するようなビッグイベントを開催している時に国民に人流の抑制を求める滑稽さを、優秀な政治家や官僚の皆様はどう考えておられるのでしょう。オリンピックの観客は寄り道せずにまっすぐ来てまっすぐ帰れ、と、学校の校則のような話が飛び出すに至っては、笑い話にもなりません。
 10月には衆議院議員選挙も控えている中で、オリンピックを開催しても中止しても混乱は避けらない状況を前にして、誰も貧乏くじはひきたくない、ということなのでしょう。「緊急事態宣言を出したが国民が人流の抑制に協力してくれなかった」と、いつものように感染拡大の責任を国民に押し付けてお茶を濁せばよいと考えているのでしょうか。
 オリンピックの開催が既定路線であるならば「オリンピックは政府が責任をもって開催します。ある程度の感染拡大が想定されますが、高齢者の方のワクチン接種は順調に進んでおり重症者数の増加は最小限に食い止めることができると想定しており、万が一に備えて、万全の医療体制も準備して開催に臨みます」と明言すべきです。本当に緊急を要するような非常事態であればオリンピックなど開催している場合ではありませんから、宣言の発出と同時にオリンピックを中止すべきです。「緊急事態宣言は発出してもオリンピックは中止しない」と言うことは、「緊急事態宣言」が飲食店や一部の大規模施設に犠牲を強いるだけの「免罪符」にすぎないことを、政府自ら公言しているようなものです。
 
 実は新型コロナワクチンに「感染そのものを完全に防ぐ」効果は立証されていません。ワクチンを打ったから絶対に感染しないのではなく、ワクチンを打っていれば、万が一感染しても発症しにくくなり(発症リスクは、モデルナ製ワクチンが約17分の1、ファイザー製が約20分の1に低減)、その結果他者へ感染させにくくなり、たとえ発症したとしても重症化を抑えることが期待できる、というのが新型コロナワクチンの社会的意義です。実際、国民の半数近くが2回のワクチン接種を完了しているイギリスでは、経済活動の段階的な再開に伴い、1日の陽性判明者数が再度上昇を始めており、人口当たり陽性判明者数はすでに日本の15倍以上にも達しています。ウィルスの変異についても当初から予想されていたことであり、ワクチン接種が進んでも人が動けば陽性判明者数がある程度増えることは想定の範囲内のことです。
 アフターワクチンの時代は、リスクを冷静に分析し十分に備えた上で受け入れる以外にありません。インフルエンザは、ワクチンが存在するにも関わらず毎年流行しています。コロナ禍前のアメリカで凄まじい流行があったことは記憶に新しいところです。それでもロックダウンは行われませんでした。コロナ禍の収束とは、ウィルスを撲滅し陽性判明者数をゼロにすることではなく、新型コロナウィルスがインフルエンザのように変異を続けながら常在化することを前提に社会経済の再設計を行い、私たちが新型コロナの常在化した世界で折り合いをつけながら生きていくこと、だと思います。新型コロナワクチンはそのための手段の一つにすぎません。

 大切なことは「感染しないこと」ではなく「発症させないこと」「重症化させないこと」です。無症状者も含めた陽性判明者の人数、在住市町村、行動履歴等の公表は無意味であり、入院者数(入院治療を必要とする人)や重症者数のモニタリングを重視した公表にシフトすべきです。
 ワクチン接種の普及とともに、無症状の人も含めた積極的疫学調査も、無症状陽性判明者をホテルや病院で隔離することも、無意味なものとなります(ワクチンによって発症リスクが大幅に減るわけですから)。無症状なのに陽性と判明した方には、マスクの着用や自身による健康観察・健康管理を促し、万が一発症した場合の対処方法をきちんと伝えておく、という対応でよいと思います。
 単なる陽性判明者数が増えるたびにロックダウンや緊急事態宣言を行う、ということを、この先5年、10年と続けていけば、社会はどうなるのか。新型コロナウィルス以外の要因で失われる命、失われる生活、失われる未来はどうなのか。私たち一人一人が問われているのだと思います。


6月29日追記
 人口が日本の半分というイギリスで、1日の陽性判明者数が2万2868人になりました(日本は1002人)。
 しかし保健大臣は
「感染者数は増加しているもののワクチンの効果によって死者の数は抑えられ、入院する人の数も感染が急激に拡大した今年1月に比べて少ない」
「ウイルスを根絶することはできない。共生する必要がある。ビジネスにとっては確実性が必要だ」
とコメントし、感染対策規制の段階的撤廃を来月予定通り進める方針を示しました。
 日本の首相や厚労大臣からこのようなコメントが聞けるのはいつ頃になるでしょうか。
(ただし補足すると、実はイギリスは社会経済生活での規制は4段階の緩和措置のうち3段階まで緩和された現在でも、日本より厳しい規制が行われています。日本は諸外国に比べて社会生活の規制がかなり緩いのに欧米ほどの感染爆発には至っていない、ワクチン接種も大幅に遅れているのに陽性判明者数は少ない、にも関わらず、いつになったらコロナ禍は収束するのかと国民が将来を悲観している、とても不思議な国と思われているかもしれません。国民に対し責任をもって明確な指針を示すことができない政府と、マイナスの情報を強調し不安を煽るような報道、そして同調圧力が強くゼロリスクを求めがちな国民性の問題なのでしょうか)

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