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投稿日:2021年07月20日

事務局通信~アフターワクチンの時代⑤

ワクチン接種の進捗状況は市区町村によってかなり差があるようです。高齢者の方の接種はほぼ終わりそれ以外の世代の接種も着々と進み予約の枠が余り始めているようなところさえある一方で、「ワクチンの供給不足」を理由に新規予約の停止を余儀なくされているところもあります。徳島市も今月12日から予定されていた64歳以下の方の接種が延期になり、予約受付の再開時期もいまだに決まっていません。
 ただ6月末までに確保したファイザー製1億回分、モデルナ製1370万回分のうち、7月15日までに接種に使用されたのは、ファイザー製6439.7万回分、モデルナ製231.8万回分にすぎません。残りは接種の現場で在庫として残っている、もしくは、接種したのにまだデータ入力されていない、のいずれかということになります。
 それぞれの市区町村が2回目の接種分として備蓄しているケースは少なくありません。市区町村としては2回分まとめて確保してからでないと、1回目の接種を始めるのが不安ということもあると思います。
 またかかりつけ医や職域接種の関係で市区町村外で接種を行ったり市区町村外から接種に来たり、といったケースもあり、在庫調整がスムーズにいかないこともあるでしょう。
 いずれにせよ、途中で足りなくなって混乱を招くのは避けたいから予約受付を停止している、という面が強く、各市区町村へのワクチン送付のスケジュールが示され確実に届く保証が得られるようになれば、状況も変わってくると思います。

 「供給不足」というマイナスのトーンで報じられることが多いですが、むしろ市区町村関係者や医療従事者の皆様のおかげで想定以上に早く接種が進んだ、とプラスの見方もできると思います。ワクチン接種がオリンピックや夏のシーズンに間に合わなかったのは、ワクチンの開発・承認・確保で大きく遅れをとったためです。陸上のトラック競技で言えば初めから周回遅れでスタートしたようなもので、追いつけないことは、春の段階で分かっていたことです。
 ただその段階で「ワクチンは間に合わない」と明言してしまうと、オリンピック開催反対の世論が高まって中止に追い込まれるという、政府にとっては最悪の事態を招くことが分かっていたからそこはあえて触れず、間際になってから「7月末までに高齢者の接種を完了させる」と市区町村にハッパをかけた結果、接種が想定以上に進みました。
 しかし諸外国の例からも明らかなように、ワクチン接種がある程度進んでも陽性判明者数の増加は避けられないことは確かです。だからあえて反対を押し切ってでもオリンピックを開催するのであれば、「安全安心」とか「コロナに打ち勝つ」といった抽象的な言い方ではなく、「陽性判明者数は再度増加するかもしれないが、重症化リスクの高い高齢者の方のワクチン接種が進んでいれば、重症者数の増加を抑えられるので、オリンピックの開催は可能である」と国民に対して明確に言い切ったら良かったのです。ワクチン接種によって発症を17~20分の1にまで低減でき重症化の抑制にもつながることは科学的に実証されているのですから、首相自らはっきりと国民に伝えたら良かったのです。
 それができなかったのは、最大の支援団体の反発を無視できなかったからでしょうか。オリンピックは何が何でも開催したい、でも支援団体の意向もくみ取らなければならない、その結果苦肉の策として生まれたのが、「緊急事態宣言を発出するが、オリンピックは開催する」というダブルスタンダードの政策でした。宣言を出しておけば、たとえ陽性判明者数が大幅に増えても、自粛要請に協力してくれなかった国民の責任にすることができ、医療システムの問題もクローズアップされずに済みます。
(政治資金パーティを主催すると言う「不祥事」で一時期なりを潜めていた支援団体の会長も、まだ3か月しかたっていないのにほとぼりが冷めたのか、再びマスコミがそのコメントを報道するようになってきました。)

 日本よりはるかに陽性判明者数が多い国々から人をどんどん入れておきながら、国民に対して「都道府県域をまたいだ移動は控えてほしい」などとコメントするのは不可解であり、発熱で寝込んでいる人に「歩くのはダメだが走るのは構わない」と言っているようなものです。
「お国の行事であるオリンピックを無事遂行するためにも、国民の皆さんは帰省も旅行も屋外のイベントも会食も我慢して下さい。オリンピックのために国民が一丸となって頑張りましょう」ということでしょうか。まるで「欲しがりません勝つまでは」の時代がよみがえってきたようです。あるいは、その時代から今日に至るまで根本的なメンタリティはほとんど変わっていないのかもしれませんが…。

7月20日追記
 東京都では陽性判明者数の増加が顕著です。重症者数はここ2週間は横ばいとなっていますが、ここのモニタリングは大切だと思います。
 新型コロナワクチンの累計接種回数は約7005.1万回、人口100人当たりの累計接種回数は約55.10に達しました(イギリス123.3、シンガポール117.9、スペイン106.7、ドイツ103.0、イタリア102.1、アメリカ101.7、フランス93.8)。一方で、ワクチン接種について「様子をみたい」と考えている方が20代や30代女性で約4割、40代女性でも4人に1人おられる、というNHKの調査結果が報道されています。
 ワクチン接種が重症化抑制につながることは間違いありません。しかしだからと言って、ワクチン接種を強要するようなことはあってはならないと思います。これまで一部のマスコミが繰り返し行ってきた「脅し」や「同調圧力を誘発するようなバッシング」も控えるべきかと思います。

7月24日追記
7月22日、東京都の陽性判明者数は1979人に達しました。直近の重症患者数は68人(確保病床392床に対して17.4%)となっています。今年の1月6日に初めて1600人を超えたとき重症患者数は113人、2週間後には160人まで増えました。東京の陽性判明者数が8月上旬には3000人に達するとの予測を出している専門家もいますが、むしろ問題はワクチン接種によって重症者数の増加をいかに抑えることができるか、という点にあると思います。
 オリンピック開会式の直前になって、菅首相がファイザーCEOと会談しワクチン前倒し供給を要請したとのことですが、遅くともワクチン供給の遅れが表面化した6月末の段階でやっておくべきことだったのでは、と思います。ちなみに、ワクチンを1回以上接種した人を人口100人当たりで見ると、イギリス69.4人、イスラエル63.5人、イタリア58.6人、スペイン57.7人、ドイツ57.4人、フランス54.7人、アメリカ53.3人、日本35.3人となっており、ヨーロッパ諸国では接種が進む一方でアメリカは頭打ちとなっています。イギリスは集団免疫達成の目安とされる国民の7割の接種完了がほぼ確実となっており、19日の規制撤廃もそれを踏まえた上での判断だったのでしょうか。

 ワクチンの最大の意義は、重症化リスクを大幅に軽減できることです。リスクをゼロにすることは難しいが、最小限にまで減らすことはできる、それがワクチンです。ワクチンの接種が進んだ後、どのタイミングでどのような形で「我慢」をやめるのか。正解はありません。
 高齢者の方の64%が接種完了するなど、ワクチン接種が進み、重症化リスクの高い人の割合が相対的に減っていく中で、国民の行動を要請によってコントロールする従来の手法の効果も限定的となってきた感があります。要請に従ってステイホームする人もいれば、それぞれの判断で動く人もいるでしょう。山場、正念場、最大の危機、といった危機感を呼び起こすフレーズも、使い過ぎてインパクトを失いました。
 専門家の皆様の中には「もうちょっと我慢してほしい」と言われる方もおられますが、ワクチン接種で先行しているイギリスやアメリカにおいて陽性判明者が急増していることを見ても「もうちょっとの我慢」で済まないことは明らかです。
 リスクと我慢はトレードオフの関係にあります。ゼロリスクを求めて5年10年我慢を続けるか、最小限のリスクは受け入れて我慢をやめるか、ワクチン接種が進めば、その選択を迫られる時が必ず決ます。
コロナ禍最大の問題は、リスクや我慢の程度が一人一人大きく異なる点にありました。リスクの高い人を守るためにリスクの低い人にも我慢してもらう、そのために時には不安を煽ったり、脅したり、叩いたり、同調圧力を誘発させたり、いろいろなことが行われた結果、信頼が失われました。その我慢の中身も様々で、生活が守られていて少しの我慢で済む人もいれば、職を失い自殺を余儀なくされるほど「限度を超した我慢」を強いられる人もいました。
 リスクをどこまで許容するのか。アフターワクチン社会、最大のテーマです。
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