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投稿日:2021年01月16日

事務局通信~保健所が警察になる?

保健所が警察になる~忘れられたハンセン病の歴史

市内の有料老人ホームの入居者や職員、44名の方が、新型コロナウィルスの検査で陽性と判明しました。
県知事からは「感染対策が十分に取られていなかった」とのコメントもあったようですが、介護の現場でゼロリスクを追求することの困難さを改めて思います。

 入院勧告などに従わない人や、保健所の積極的疫学調査に協力しなかったり、虚偽回答をした人に対し、懲役(最大1年)や罰金(最大100万円)などの刑事罰を科す法改正案が、18日召集の通常国会に提出される見込みです。今朝の徳島新聞の社説でも取り上げられていましたが、賛否両論あるかと思います。
 高齢の方や持病をお持ちの方など、特に重症化のリスクの高い方にとっては、強制力を行使してでも感染拡大を食い止めてほしいと思われることでしょう。ただ仕事や、介護、育児といった諸事情により、入院すれば生活が崩壊してしまう方も少なくありません。そういったことへの支援は行わず、入院勧告に従わないことを「犯罪」と決め付け「前科」とするような社会にしても良いのか、私たち一人一人が冷静に考える必要があるのかもしれません。
 また警察の犯罪捜査ですら、虚偽の回答をしたからと言って、犯人蔵匿・隠避などの場合を除き、それ自体が刑事罰の対象とされることはありません。徳島のような地方都市では、名前が伏せられていたとしても陽性判明者は容易に特定されてしまい、行動履歴の公開によって世間にプライバシーがさらされ、誹謗中傷を受け、最悪の場合、社会から抹殺されてしまう可能性もあります。
 入院勧告に従わない人を警察が病院に連れて行く、保健所が調査に協力しない人を警察に通報する、連絡が取れなくなった人を警察に捜査してもらう、行動歴の虚偽や自宅療養違反を保健所に密告する人や「コロナ自警団」が至る所で増えていく。前科としてその人の人生を大きく変え、マスコミによって名前と顔が世間にさらされ、それがネット上でいつまでも残り、仮に偽陽性だったとしても冤罪を晴らす機会は一切与えられない…。
 私たちはハンセン病の暗い歴史を繰り返そうとしているのでしょうか。戦時中を彷彿させるような世界がすぐ近くまで来ているように思えてなりません。

 なおこの問題については、一般社団法人日本医学会連合から「感染症法等の改正に関する緊急声明」というものが出されています。この声明を発出するにいたった理由として以下のように記されています。

以下抜粋
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 現行の感染症法における諸施策は、「……感染症に迅速かつ適確に対応することができるよう……患者等が置かれている状況を深く認識し、これらの者の人権を尊重しつつ……推進される」ことを基本理念…としています。この基本理念は、「(前略)我が国においては、過去にハンセン病、後天性免疫不全症候群等の感染症の患者等に対するいわれのない差別や偏見が存在したという事実を重く受け止め、これを教訓として今後に生かすことが必要である。このような感染症をめぐる状況の変化や感染症の患者等が置かれてきた状況を踏まえ、感染症の患者等の人権を尊重しつつ、これらの者に対する良質かつ適切な医療の提供を確保し、感染症に迅速かつ適確に対応することが求められている(同法・前文)」との認識に基づいています。

 かつて結核・ハンセン病では患者・感染者の強制収容が法的になされ、蔓延防止の名目のもと、科学的根拠が乏しいにもかかわらず、著しい人権侵害が行われてきました。上記のように現行の感染症法は、この歴史的反省のうえに成立した経緯があることを深く認識する必要があります。また、性感染症対策や後天性免疫不全症候群(AIDS)対策において強制的な措置を実施した多くの国が既に経験したことであり、公衆衛生の実践上もデメリットが大きいことが確認済みです。

 入院措置を拒否する感染者には、措置により阻害される社会的役割(たとえば就労や家庭役割の喪失)、周囲からの偏見・差別などの理由があるかもしれません。現に新型コロナウイルス感染症の患者・感染者、あるいは治療にあたる医療従事者への偏見・差別があることが報道されています。これらの状況を抑止する対策を伴わずに、感染者個人に責任を負わせることは、倫理的に受け入れがたいと言わざるをえません。

 罰則を伴う強制は国民に恐怖や不安・差別を惹起することにもつながり、感染症対策をはじめとするすべての公衆衛生施策において不可欠な、国民の主体的で積極的な参加と協力を得ることを著しく妨げる恐れがあります。刑事罰・罰則が科されることになると、それを恐れるあまり、検査を受けない、あるいは検査結果を隠蔽する可能性があります。結果、感染の抑止が困難になることが想定されます。
 以上から、感染症法等の改正に際しては、感染者とその関係者の人権に最大限の配慮を行うように求めます。
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特定非営利活動法人(NPO法人)太陽と緑の会