投稿日:2016年08月26日

事務局通信81〜元回収担当のつぶやき 

事務局通信81〜元回収担当のつぶやき 
 
今から10年以上も前のこと。メンバーのAさん、Bさんと3人で、ある一戸建てのお宅に、品物のお引き取りにお伺いした時のことです。
Aさんが機関誌を持って、ピンポンと呼び鈴を押すと、ドアが開き、中からご依頼のお電話を下さった奥様が出て来られました。
「太陽と緑の会です。回収に来ました。太陽と緑の会で発行している機関誌です。読んで下さい。」Aさんが機関誌を渡す。
Bさんは朝から情動が高まってパニックを起こし、泣きながら出発するトラックに乗り、まだ半分涙目なのだが、トラックは下りてきて、「自分も作業に参加する」という意思表示が感じられる。そんなBさんを親子ほど年の離れたAさんが「大丈夫かな」と言いたげに顔をのぞきこむ。

まず最初は学校の段ボール10箱分の教科書、参考書、プリント、そして学習机。
「息子が2年前に大阪の方で就職して。電話で聞いたら、もういらない、と言うので」と奥様。
「大阪と言えば、大阪城が有名ですなぁ。あれは豊臣秀吉が…」
いつもは言葉がなかなか届かないAさんが、珍しく話に入って来る。
続いて、長年使いこまれた座卓、座椅子、座布団、鏡台、テレビ台など。
「膝が悪くなったから、新しくテーブルと椅子を買ったの。正座するのが辛くなって。テレビは前のが壊れて大きい物に買い替えたときに台も一緒に買ったから」
次は電気ストーブと掃除機。
「エアコンを入れたので、いらなくなったの。まだ使えるのよ。掃除機も15年くらい前に買ったもので、ちゃんと使えるんだけど、重くて2階に持って上がれなくなって…」
さらに、段ボール箱に梱包された食器類や台所雑貨、ごみ袋に入った衣料品、掛け布団、敷布団と、奥様の案内で各部屋を回り品物を運ぶ。
「新聞もいけるのかしら」「ええ」
Aさんが応えている。
「こっちの重たい方は僕が持つから、Bさんはこっちを持って行って」とBさんにはいつも優しいAさん。3人でトラックまで運んで積み終わる。
帰り際、「おかげさまで片付いて助かったわ。これはちょっとはお金になると思うから、活動の足しにして」とおっしゃって、木箱に収まった信楽焼の花器を持って来られました。
「ありがとうございました。またよろしくお願いします」と3人で礼をしてトラックに乗り込みました。

リサイクルショップさんであれば、市場価値の高い品物だけを買い取って、他の品物はお断りされるかもしれません。その方が商売としては効率的だからです。
しかし、その商売の常識を分かった上で、あえて、無償でお引取し、ひとつでも多くの品物をリユースにつなげていくスタイルを続けてきました。(to be continued)