投稿日:2016年07月28日

事務局通信78

事務局通信78〜「社会の風」
朝ミーティングで、若手メンバーのBさんがトラックのフロントガラスを割ってしまったことについて話しました。
修理代は市民の皆様から頂いた品物を販売して得た売上金の中から支払わねばならないこと、そこが税金で成り立っている障がい者施設とは違うこと。こうした「ハンディを持ったメンバーには分からないのでは」となりがちな話を、あえてするのには理由があります。
2日後、メンバーのAさんが「ちょっと聞きたいことがあるんですけど」と相談に来ました。今月の自分の給料が減ってしまうのではと、心配になったようです。

太陽と緑の会のハンディを持ったメンバーの給料は月額1万円から10万円。全額リユース品の売上から出しています。公的資金は1円も入れていません。
しかし「就労継続支援A型」(障がい者の方と雇用契約を結び最低賃金を支給するタイプの障害者事業所)では、行政からの給付金、補助金を給料の一部、もしくは大半に充てているケースも多く見られます。最低賃金に満たない部分を税金で補てんしているとも言えますが、売上金だけで障がい者の方に最低賃金を保障するのは、それだけ難しいということです。
(中には、民間企業と同等、もしくはそれ以上の品質管理、競争力を有し、年商1億円を超すような障害者事業所もありますが、全国的に見ても珍しい事例です)

ただ、制度の悪用も広がっており、「共同連」の地道な取り組みによって社会問題化し、厚生労働省でも問題として認識されるようになりました。
「ここでいう悪しきA型とは多数の障害者を短時間雇用で受け入れ、十分な仕事環境・設備を有せず、わずかな売上げしか得られない仕事をあてがい、職員人件費を含めた経費をできるだけ切詰め、給付金・補助金を浮かして金をもうけようとする事業所をさします。」
(特定非営利活動法人共同連から厚生労働大臣への申し入れ書(2015年9月2日)KSKP「共同連」156号掲載)
生活保護制度を悪用した貧困ビジネスは広く知られるようになりましたが、ある意味、その障害者版と言えるかもしれません。


「自転車が売れてよかった」
リユース自転車のパーツ交換を担当するメンバーのDさんが、自転車バザーで自転車が8台売れて、ホッと一息ついていました。
「品物が売れて給料になる」
社会では当たり前の風が、ここでは流れています。
社会の風が流れていることが、差別や偏見を紐解く道筋なのかもしれません。水も流れていないと澱(よど)んできます。即効薬はありません。(文責・小山)