投稿日:2014年11月22日

宿泊研修2014in名古屋報告

宿泊研修2014in名古屋報告
平成26年11月17日(月)〜18日(火)、財団法人徳島県福祉基金より「地域活動支援センター等利用者の社会参加を促進する事業」として受けた助成金に自己資金を合わせ、太陽と緑の会リサイクル作業所及び太陽と緑の会月の宮作業所合同の宿泊研修旅行を行いました。参加者は様々なハンディを持ったメンバー、スタッフ、ボランティア、計27名です。

今回の研修では「わっぱの会」(愛知県)の見学を行いました。
43年の歴史を持つ同会は、「差別のない社会 共生・共働・共育の社会 相互扶助の社会」を目指し、就労継続支援A型・B型事業所、生活援助ネットワーク、障害者就業・生活支援センター、共同生活体、資源リサイクルセンター、デイサービスセンター等を、名古屋市及び知多郡にて運営しており、ハンディのある人ない人合わせて約200人が働いています。また共同連の事務局を担い、社会に向けた働きかけや発信も積極的に行っています。

同会の看板事業であり、30年の歴史を持つ国産小麦・無添加パンの製造販売は固定ファンに支えられており、生協やスーパーなどへの卸売販売が3分の2を占めているそうです。小麦粉・バターの値上がりやノントランス脂肪酸マーガリン導入による原料費上昇、年々高くなる衛生管理の要求、など、パンの製造販売を取り巻く現状もお話し頂きました。
名古屋市からの委託を受けて行っている「リサイクルセンター」では、ペットボトル再生のための異物除去・圧縮を行っていました。建物設備は市の所有で、光熱費も3分の2は市が負担しています。パンの販売が頭打ちとなる中で、新たな働く場として、15年前にスタートしました。比較的若い世代、30代、40代の方が多く働いているそうです。
どちらの事業も知的ハンディの方がほとんどで、精神的ハンディの当事者の方は、農作業を行っている就労継続支援B型事業で働いている方が多いとのことでした。


「わっぱの会」の、他にはない特徴の一つとして、収入の分配方式があります。能力差別につながる、との理由から、能力給方式は採らず、ハンディのあるなしに関わらず(指導員、利用者といった分け隔てをせず)、同一時間の労働に対しては同一の賃金を保障していくことを実践しています。
この方式では、「わっぱの会で働きたい」という障がい者の方を受け入れていくためには、事業収入の増加、事業規模の拡大が必要となってきます(今働いている人が、民間企業等への就職という形でシフトしていけば、その分新たな受け入れは可能という面もありますが、わっぱの会よりよい条件で雇ってくれる民間企業がどれだけあるか、ということです)。
(近年、就労継続支援A型事業所の中には、障がい者の方に短時間労働しかさせないことで利益を生み出していく事業所も増えていますが、わっぱの会はフルタイムの労働を保証し、そういった事業所とは一線を画しています。ただそのような「良心的な事業所」は圧倒的に少数派である、とのことでした)

事業収入の拡大と高齢化問題(新規受入停止と平均年齢上昇)への対応という課題がある中で、多様な事業展開によって、「共に生き、共に働く」実践の模索を真摯に続けておられると、感じました。

代表の斎藤さん自ら5時間かけて、7か所の事業所を回り、それぞれの事業の説明をして下さり、太陽と緑の会スタッフ・メンバーからの山のような質問にも一つ一つ丁寧に答えて下さいました。
今の活動をゼロから創り上げてきた方から、運営的な課題や今後の方向性について、示唆に富んだお話しをお聞きする機会が得られたことは、本当に有難いことと思います。

指導する側される側といった分け隔てをせず、共に働く関係を大切にしていること、働いている方の表情が生き生きとしていること、など、太陽と緑の会の実践と重なるところ「近い匂い」を感じる瞬間もありました。
当会のメンバーにとっても、日々の活動を違う角度から見つめ直すよい機会になったのではないかと思います。

斎藤さんをはじめ、お忙しい中、貴重な時間をさいて下さった皆様に、この場を借りてお礼申し上げたいと存じます。