投稿日:2014年10月25日

事務局通信66

事務局通信66「20年の計」
毎日きちんと通所して、作業も少しずつ覚え、時給ミーティングで他のメンバーからも評価され、給料も順調に上がってきたメンバーが、ある日突然来なくなることがあります。
このようなとき、「何か原因があるはずだ」と因果律で解明しようとしても、あまりうまくいきません。「人間関係でトラブルがあったのではないか」とか、「嫌なことでもあったのか」とか、原因が分からないと心理的に落ち着かないので、つい考えたくなるところですが…。
ある出来事が発端になっていることもあります。しかし、それが解決したら来るようになるか、と言うと、そうとは限りません。相変わらず来なかったり、来てもしばらくたったらまた来なくなったり…。「原因が解決したのになぜ?」と、別の原因探しを始めても、袋小路に陥るだけです。
実は、水面下にあった本質的な問題が浮き彫りになってきた、ようやくスタートラインに立った、ということなのです。これからどうやって自分の足で立っていくのか、本当の意味での模索が始まります。そこにはマニュアルも模範回答もありません。
1年、2年で変化したように見えることもありますが、どちらかと言うと、それは表面的な変化であることが多いです。だから変わったように見えても、急に以前の状態に戻ったりします。一進一退の繰り返し。階段を上るように少しずつ変わって行く、ということは稀です。
実際人が変わると言うことは並大抵のことではありません。しかし変わっていく可能性はある。それは10年先、あるいは20年先かもしれない。ひょっとしたら変わらないかもしれない。そこは信じるしかありません。
身近にいると、小さな変化に一喜一憂しがちですが、メンバーの10年、20年前の姿を思い起こせば、目線も変わって来ます。そういった彼、彼女たちから、「信じるエネルギー」を頂いているのかもしれません。

先日、太陽と緑の会に足を運んで下さった大学の先生が、「卒業生が卒業して10年たって、あの大学に行ってよかった、と言ってくれるような大学にしたい。卒業してすぐに『よかった』というのは大したことないのです」と言われました。人を育てることの本質を突いた言葉だと思います。       (文責・小山)