投稿日:2013年10月12日

事務局通信62

事務局通信62〜忘れてはいけないこと

観測史上最高という季節外れの残暑が続く10月の初め、そよかぜの家の機関紙「そよかぜ通信」が届きました。昭和60年に障害者共働作業所そよかぜの家として活動を始め、平成24年度から就労継続支援B型事業所に移行されました。
読み進めて行くと、職員の三枝さんが書いていらっしゃる文章が目に留まりました。ちなみに、三枝さんは20年以上関わっていらっしゃるそうです。

(以下一部抜粋です)
「今、そよかぜの家は、就労継続支援B型事業所になってしまっている。障がいをもつ人は利用者となり、私たち健全者と呼ばれる人間は、支援者となった。
障がい者も健全者も対等に!!というポリシーで始めたはずのそよかぜの家が、障害をもつ構成メンバーのことを利用者と呼ぶ。私は、サービス管理責任者となった。その責務として、支援計画を作成し、それについての成果も、考えて記していかねばならない。「何様だ!!」と自分で思っている。でも、そう思いながらも、就労継続支援という制度の中で責務を果たしていると、制度に慣れて行く自分になっていることを発見したりする。そよかぜの家を存続させるためには就労継続支援B型事業所になるしかなかった。だけどそよかぜの理念を失ってはいけない。障がい者と健全者が対等な立場で社会を構成していくという人権問題を私たちは、忘れてはいけないと思う。」
(以上抜粋終わり)

共同作業所から就労継続支援事業へと移行すれば、多額の公的資金が導入され、事業の選択肢も増え、施設運営は安定し、職員の生活も保証できるようになります。
特に徳島県のように、地域活動支援センター・障害者地域共同作業所(小規模作業所)への補助金が低い地域では、東京・大阪・京都・滋賀などに比べて、移行による経済的効果が大きく(作業所によって差はありますが、3〜4倍くらいの公的資金の増額)、制度開始後、移行が相次いだのも、施設経営の観点から言えば、妥当な判断かもしれません。

しかし、多額の公的資金を頂く以上、相応の「責務」が伴います。運営体制や職員体制も変わってきます。その流れの中で、活動の原点や理念はどうなっていくのか、という良心の叫びが、三枝さんの文章から伝わってきました。
「何のための、誰のための活動か」
やはり、最後に行きつく所はそこでしょうか。(小山)