投稿日:2013年07月05日

事務局通信60

事務局通信60〜立ち止まって見えてくるもの

 50代の男性がボランティアに来られるようになった。週に3-4日、2-3時間くらい、様々なハンディを持ったメンバーと一緒に、物を運んだり、分別したり、汗を流して下さった。引っ越しシーズンで品物が山積みの中、まじめで、てきぱきとした仕事ぶりに、メンバーからも厚い信頼が寄せられるようになった。

 長年仕事一筋で頑張ってこられたが、精神的にバランスを崩されて休職された。そういった方面の集まりにも行ってみたが、自分には合わないと感じられた。
「家でブラブラしているくらいなら、ボランティアでもしたら」
「いつも、いらなくなったものを太陽と緑の会に持って行っているが、あそこならどう?」と奥さんから勧められたことがきっかけになった。
「ずっとエリートコースを歩いて来ました。まさか自分がこのような形でつまづくとは思ってもみませんでした」
 その言葉が、作業所の様々なハンディを持ったメンバーの姿に重なった。

 3か月ほどたったある日、「おかげさまで復職できることになりました」と言って来られた。娘さんの自転車を借りて通って来られていたので、太陽と緑の会からのささやかなお礼として、代表の杉浦がその自転車を整備(オーバーホール)させて頂いた。

 太陽と緑の会は、一般の事業所と、公的資金で運営費が賄われている福祉施設との、中間の立ち位置を考えてきた。100%就労では基準に満たないとの理由で切られる人が出てくる。かと言って、100%福祉では自分の足で立てる人まで立てなくなってしまう。「支える」「支えない」のどちらか一方に偏ることなく、「その人なりに立って行くことを考える」という「あり方」を模索し、実践してきた。
 人生の道のりを順調に走り続けている時には気づかない。ふと立ち止まってみたくなった時、少しつまづいてしまった時、その「あり方」の意味が見えてくる。(小山)