投稿日:2012年05月05日

事務局通信51

事務局通信51〜人も物も活かされるセール〜
 
 
メンバーのAさんは太陽と緑の会リサイクル作業所に通所するようになって5年目になる。アニメ、ゲーム、携帯でのインターネットが好きで、生活リズムを崩してしまうことも少なくない。腰痛のため重い物を持ったり運んだりする作業は難しい。かといって、内職的な作業や掃除を地道にコツコツとやるのも苦手。人とコミュニケーションをとるのも決して得意ではないが、話すことはできるので、Aさんなりのスタイルでの接客作業を模索してきた。

 一昨年の12月より10個100円セールというものを始めた。屋外に置いてある通常価格50円のリユース品を10個100円という最終処分特価で販売し、リユース率の向上につなげる、というものだ。週1〜2回実施で、雨天の日はやらない。
普通のお店と違うのは、様々なハンディを持ったメンバーだけでセールを行っていることだ。中心となるのはAさん。セールのご案内から会計まで担当する。

 ハンドマイクでのご案内が始まる。
「本日は10個100円セールを行っています。いつもは1個50円の商品が、10個100円となっています。10時から12時までのタイムセールです」

100を超すケースの中に、雑貨、食器、おもちゃなど、様々なものが詰まっている。50円でも十分安いのだが、それがさらに安く買えるとあって、お客さんも買い物かごに次々と品物を入れていく。
「このふとんも入るんで?」
「はい、入ります」「へぇ、安いでぇ」
「はい、だからどんどん買って下さい」
お客さんが品物を5個持って来る。
「これやったら50円になるん?」
「いや、10個までで100円なので、5個でも100円です。何かあと5個選んで下さい」
別のお客さんが10個品物を持って来る。Aさんが数を数える。100円玉を受け取り、貯金箱に入れる。
「おーい兄ちゃん、ちょっと食器を新聞紙で包むん、手伝うてくれ」
 近くを通りかかったメンバーのBさんが呼ばれ、お客さんと一緒に食器を新聞紙で包み始める。
 12時となり、セールは終了する。今日の売上は4000円。400個の品物がもう一度使って頂けることになった。
 
 福祉施設で、物品販売をメンバーが担当している所は少ない。福祉展などのイベントに出店している所を見ても、職員のみでメンバーがいない所、メンバーはいるが主な接客・会計は職員が行いメンバーは補助的作業のみ、というケースが多い。
しかし、多少の不手際はあったとしても、メンバーが活かされることのメリットの方が大きい、との判断から、太陽と緑の会リサイクル作業所ではあえてこのような取り組みをしている。メンバーも活き、メンバーの工賃にもなり、お客さんにも喜んで頂き、資源の有効活用とごみの減量にもなる。三方よしである。

 養護学校(特別支援学校)の校長先生だった方が、セールをごらんになって、「あれは面白い」と言って下さった。時々、買い物がてら、卒業生の働く姿を見に来て下さっている。
「職員がちゃんとついていてあげた方がよいのでは」と心配して下さる方は大勢いらっしゃるが、セールの趣旨も踏まえた上で「面白い」と言って下さる方は少ない。本当にありがたいことだと思う。