投稿日:2011年06月12日

事務局通信41

コストパフォーマンス

S支援学校高等部3年生で、知的障害を持つ、Z市在住のAさん。
仮に一般雇用に必要なスキルを100とすると、Aさんのスキルは30くらい。
Z市には、B通所授産施設(旧体系)とC障害者福祉サービス事業所(就労継続支援B型 3年前に地域活動支援センターより移行)(未就労障害者の新規利用には条件あり)があります。
1人当たり年間の公的資金は、B通所授産施設230万円、C障害者福祉サービス事業所155万円(定員20名 月22日利用)。施設職員の人件費や運営費に使われます。Aさんが学校卒業後、就職できず、福祉施設を利用するとなると、それだけの税金が必要になります。
「給料に見合う仕事をしてもらえないからAさんを雇わない」という企業の合理的な選択は、155〜230万円の税負担増という形で社会に跳ね返って来ます。

「徳島県の最低賃金は時給645円。1日8時間、週休2日で雇用すると、社会保険等事業所負担分を含め必要な資金は年間150万円。福祉に230万円も使うくらいなら、公的資金150万円出して雇用してもらった方がいいのでは。」
実際、それに近いものとして、職場適応訓練制度があります。障害者本人支給とは別に、事業主に毎月2万4000円(重度障害者2万5000円)が支給されますが、期間は半年以内(中小企業、重度障害者は1年以内)です。制度終了とともに解雇されるケースが後を絶ちません。

社会的雇用という考え方もあります。民間企業でも福祉施設でもない中間的な事業所がAさんを一般雇用し、150万円の賃金のうち、一定の割合を公的資金でフォロー(実質的な賃金補填)するというものです。(滋賀県や大阪府箕面市で制度化)。
このような制度からこぼれてしまう人の最後のセーフティネットとして福祉施設を位置づけることで、社会全体としての費用対効果は高くなると思います。

ちなみに、地域活動支援センター太陽と緑の会リサイクル作業所が頂いている公的資金は通所授産施設の約8分の1にすぎませんが、障害者メンバー20人に対して時給100〜620円の作業工賃を、リユース品の販売収入から支給しています。
年間4600万円の税金で通所授産施設が行う事業を、太陽と緑の会は620万円の税金と市民の皆様からのサポートで行っています。日本再建には、コストパフォーマンスの視点も必要です。(小山)