投稿日:2010年02月08日

事務局通信31 〜捨てたもんじゃない〜

「乗っていた自転車が壊れたので、新しい自転車をここ(リサイクル作業所)で買いたいんだけど、お金がない」
メンバーのAさんがうつむき加減に事務室に入って来ました。
話を聞いてみると、お金は少しは残っているが、次の給料日まで、まだ3週間もあるのでとっておきたいとのこと。
「家の電気代、水道代は(自分の給料から)僕が出している」
「お父さんもお母さんも仕事をしていないし、仕事をして(お金を稼いで)いるのは僕だけだから」
とつとつと語るAさんには、両親が年を重ねていくことへの不安と、自分が家計の一部を支えていることへの誇りが、同居しているようでした。
リサイクル作業所に通所するようになって10年、簡単な磨きの作業からスタートしたAさんは、今では若手のメンバーさんを束ねていくリーダー的存在にまで成長し、給料も4倍になりました。
「人間って捨てたもんじゃない」
Aさんがリサイクル作業所に来るようになった経緯を思うと、そう思わずにはいられません。同時に、福祉に携わる者が背負うものの重さを改めて感じる今日この頃です。(小山)